2012年6月13日水曜日

Corp 運営のこと。

  WH生活が続いている。
  WHは、いながらにして放浪しているような気持ちになる。

  定常的な外界は存在せず、限られた経路は不安定。
  後ろ盾のないちっぽけなPOSは常に危険にさらされていて、私たちは、自分の船の修理さえ自分自身で行わなくてはならない。

  幸い、私にはT2生産の技術があるけれど、生産施設は設置していない。
  そうした設備投資をするリスクを、今は背負うことができない。

  こんなに寂しくて、こんなに心細い。
  Corp の仲間がいてくれればこそ、まだ私はここに残ることができる。

  しかし果たして、たとえば Corp が解散してしまったら、私はとてもじゃないけれどこんな場所では暮らせないだろう。


  もちろん、一人には馴れている。
  故郷を飛び出したときも独りだったし、所属 Corp で孤立することもあった。

  一人でなんでもできるように、と、製造/開発スキルも学習してきた。
 
 「DDは便利で最高だよね!」と思っていた頃が、まるで大昔のようだ。

 
  WH移住メンバは、あまり多くない。
  もう少し増えたら、POSを増やすか、サイズを変える必要があるだろう。





  たまには Corp 運営のことを書いてみようかと思う。

  もともと私には、集団を統率する能力が乏しい。
  集団を形成する能力も低ければ、集団を維持する能力もない。もちろん気力もない。
  ついでにカリスマ Pod Pilot でもない。
  利益追求集団の運用知識も、実績も、ない。
  好きなことを好き勝手にしているだけで、スキル的にもなんらかの分野に決定的に長けているわけではない。

  プレイヤのIRL(in real life )でも、異性にはモテるが友達は少ないし、集団帰属意識が薄いため、そもそも群れない。

  キャラクタはもちろん、ゲームプレイにもそれは反映されていて、最初の頃は「PC Corp ? メンバになるのも面倒だな」と思っていたものだ。

  実際に入社してみると、結構面倒だった。
  そして、自分が運営する立場になるなんて(面倒すぎて)思いもしなかった。

  Corp 運営は、PvP だと思う。
  Ship 同士の PvP は、結局システムに依存していて、私には PvE と大差ないものとしか感じられない。
  実際に、Fitting System はクライアントに組み込まれているものであって、千差万別のパターンが存在するものの、環境依存に変わりはない。
(ときおり「Mission Running などの PvE はくだらない作業だ」というベテランプレイヤもいらっしゃるが、なんだか微笑ましいな、と思う)

  Corp 運営は、まるまる PvP である。
  Role(役職)管理はもちろん、POS運用などシステム依存の部分はあるし、Corp 財産の運用など、数値相手の作業もごまんとあるけれど、最終的な相手は生きた人間である。

  それぞれに得手不得手があり、好き嫌いがあり、したいこととしたくないことがある。
  考え方も千差万別で、細かい部分での不満が蓄積したり、ふとしたきっかけでの見解の相違から衝突することもあるだろう。
  IRLとのバランスもあり、IRLのちょっとした逃避(あるいは娯楽)でプレイする方には、あまり大きな負荷をかけてしまうわけにはいかないし、本人に自覚がなくとも、それだけの実力のある方であれば相応の役割を負っていただけば、その方のプレイにも深みが生まれる。

(もっとも、私の経験では、したくない役職を押し付けられるのは本当に苦痛なので、これは注意しなくてはならない)

  CEO や、Dir. のこうした作業範囲は、運営を続けるにつれて、多様化し、複雑化する。
  ただの集団だった私の Corp にも、規約が生まれ、役割分担が発生し、NPC Corp に所属していた頃と同じように活動したい(ように思える)メンバやIRLが多忙な(ように思える)メンバには干渉を控え、新しい計画や活動に対して、積極的に応じてくれるメンバには、指示を与えている。

  モニタの上で、彼らの船や財産は、常に数値化される。

  しかし、数値化されないものがこの宇宙ではあまりにも支配的だ。
  マーケットであっても商品の価格は数値だけれど、その需要と供給の根底にある購買者の意向、それを読んで対応しようとするメーカやトレーダの思考は、数値化できない。

  数値化できないもの、言語化できないものを、うまくイメージとしてつかんで、それを形にしてゆくことは大変だけれど、やってみると楽しめることもあるのだと分かった。
  私には、それはとても大きな発見だったと思う。



  まだ、プレイ暦も2年ほどだし、まともな Corp 運営開始(Alt 以外のメンバが Join した状態)から1年も経っていない。
  このゲームで、この程度のプレイ暦がどれほど浅いか、今は痛感している。

  分からないことだらけ、迷うことばかりで、本当に心細いけれど、それを聞いてくれるメンバもいるのだから、それはとても幸せなことだと思う。

2012年6月4日月曜日

WHに棲んでみた。

  眠い目をこすりながら、知り合いが探したというWH(Warm Hole:時空特異点の一種。厳密には違う、とお叱りを受けるだろうが、ブラックホールとホワイトホールのようなものだと思えば分かりやすい)に飛び込んだのは、確か地球時間の5月の終わりごろだっただろうか。
(ちなみに、私はあまり詳しくないのだけれど、ブラックホールは、重力特異点だと思う。またホワイトホールというのは仮説の存在でしかなく、実在を確認された例は存在しないと記憶している)

  とりあえず飛び込んで、何もしない数日を過ごした。
  Probe(Scan Probe:星系内のさまざまな信号を受信するセンサで、これを利用して特異的に生成されたアステロイドベルトを探したり、海賊の基地を探り当てたりする。WHもこれを使って探し当てる)で中を探って、外の様子をうかがい、時間的に崩壊間近なWHをそのままにして外に出るにも出られないままの数日だった。

  1週間ほどして、比較的 High Sec に出やすい場所にWHが開いたので、真雪をWHまで誘導し、迷いながらもPOSを購入、建てた。
  いずれも初めての経験だ。

  そうはいっても、WHは経験がある。
  学校を出て間もない頃、DD に乗るようになってから、Probe で遊んでいたことがある。
  その頃に、WHを発見し、特に何も考えずに入ってしまった。
(今思えば暴挙である)
  入った直後に、そのWHをブックマークせず System 内を散策し(これもすごい暴挙である)、Sleeper にいじめられながらも、なんとか2機くらいは倒し、ふたたび Probe で WHを探り当てて、Low Sec から 学校のある System まで逃げ帰った。遠い思い出である。



  POSは無事に建てられた。
  ご存知の人のほうが多いと思うが、WHの先の System は、完全な治外法権エリアだ。
  警察機構もないし、NPCの運営しているステーションも存在しない。
  買い物もできないし、修理サービスも受けられない。エージェントもいない。
  誰に殺されても文句も言えないような、それは場所だ。
 
  そんな中にあって、POSは、かすかな拠りどころになる。
  設備を整えれば、Fitting することもできるし、資材を置いておくこともできる。
  私のような開発者は、Mobile Labo で、BPOを研究したり、開発したりもできる。
針で刺す程度の威力しかないかもしれないが、防衛設備も整えた。

  そうはいっても警察機構が守ってくれるわけではないので、壊されることを前提にしておく必要がある。
  私たちは、人数も少なく、活動地域もまばらで、対人戦の経験もないわけだから、防衛戦をする意味などないといっていい。
  必要以上の防衛をしない(当然、助力も求めない)ことを前提の運用を考えれば、使い捨てが適当だ、という判断である。

  POSを建てて、数日。
  ソロでサイトを攻略していたところ、Command Ship 2隻、Proteus、Drake の計4隻に囲まれて Ship Kill されました。
  久しぶりのPCによる襲撃は新鮮です。
  船は破壊されましたが、Pod はきちんと逃げました。
  何事も経験です。



  今ではPOSを建てて1週間が経ち、メンバも一人入植した。
  Probing に強い人なので、ほうっておいても心配がない。

  まだ心細いけれど、それでもずいぶん心強い。

  もっとも、宇宙を航行する私たちにとって、最後に頼ることができるのは、自分だけだ。
  心細いこと、さみしいこと、それがデフォルトで、自然な状態なのだと思う。